負傷者リスト(IL)の仕組みと種類を徹底解説!10日・15日・60日ルールの違いとは?

筆者は、負傷者リストを理解することが、メジャーリーグを深く楽しむための第1歩だと考えています。負傷者リスト入りは残念なニュースですが、そこには選手の体を守る目的だけでなく、球団が長いシーズンをどう乗り切ろうとしているのかという戦略も隠されているからです。

メジャーリーグ中継を見ていると、突然「15日間の負傷者リストに入りました」というニュースが流れます。15日たてば必ず復帰できるようにも聞こえますが、実際にはそう単純ではありません。

負傷者リストは、けがをした選手を休ませるだけの制度ではなく、選手の健康と球団の戦力編成を同時に守る仕組みです。数字の意味を理解すると、負傷者情報の見え方が大きく変わります。

※この記事は、2026年10月18日時点で確認したメジャーリーグ公式サイトの情報を基に作成しています。


負傷者リストに入ると何が起きるのか

メジャーリーグでは、通常の試合に出場できる選手が26人の登録枠に入っています。しかし、負傷した選手をそのまま残しておけば、球団は実質的に25人以下で戦わなければなりません。

そこで選手を負傷者リストへ移し、空いた26人枠に別の選手を登録します。つまり、負傷者リストは病室であると同時に、球団が代役を呼ぶための扉でもあるのです。

現在の主な種類は、7日間、10日間、15日間、60日間の4つです。

それぞれ対象となる選手や、登録枠に与える影響が異なります。

野手が入る「10日間負傷者リスト」

10日間負傷者リストは、原則として野手が対象です。登録されると26人枠から外れますが、球団が保有する選手を管理する40人枠には残ります。

ここで覚えておきたいのは、10日間という数字が「全治10日」を意味するわけではないことです。これは復帰できない最低期間です。10日が経過しても回復していなければ、そのまま数週間、場合によっては数か月とどまることもあります。

軽い筋肉の張りでも、無理をして出場すれば重症化する可能性があります。10日間負傷者リストは、選手に強制的な休養時間を与えながら、球団には代わりの選手を登録する余地を与える安全装置なのです。

投手と2刀流選手は「15日間」

投手と2刀流選手には、15日間負傷者リストが適用されます。こちらも26人枠からは外れますが、40人枠には残ります。

投手の最短期間が野手より5日長いのは、投手を戦術的に入れ替える行為を防ぐ意味があります。

先発投手を1度登板させた後、軽い症状を理由に登録から外して、新しい投手を呼ぶ。それが簡単にできれば、球団は実質的に投手枠を増やせてしまいます。

15日という期間を設けることで、負傷者リストが「便利な投手交換券」として利用されることを防いでいます。

投手と2刀流選手に15日間、野手に10日間という現在の区分は、2022年から採用されています。

脳振とうには特別な「7日間」

頭部への死球や野手同士の衝突などで、脳振とうの症状が疑われる場合には、専用の7日間負傷者リストがあります。

脳振とうは外見だけでは判断しにくく、症状が数時間後や翌日に現れることもあります。一方で、検査を通過して症状が消えた選手を、通常の10日間や15日間より長く休ませる必要がない場合もあります。

そこで、復帰を急がせず、必要以上に離脱期間を長くしないための特別な制度として、7日間負傷者リストが設けられました。この制度は2011年に導入されています。

ただし、7日が経過すれば自動的に復帰できるわけではありません。症状や検査結果などを確認したうえで、安全にプレーできると判断される必要があります。

重傷者のための「60日間」

手術や骨折など、長期離脱が確実な選手には60日間負傷者リストがあります。

最大の特徴は、26人枠だけでなく、40人枠からも一時的に外れることです。これにより球団は、空いた40人枠を使って新たな選手を登録できます。

ただし、負傷した選手を解雇したり、保有権を手放したりする制度ではありません。選手の契約上の所属は球団に残ります。回復後に復帰させる際には、再び40人枠に空きをつくらなければなりません。

60日間負傷者リストも、60日後の復帰を約束するものではありません。60日はあくまで離脱する最低期間です。

また、球団が40人枠を空ける必要がなければ、実際の離脱が60日を超えても、10日間または15日間負傷者リストに置いたままにすることがあります。

60日間への移行は、選手の回復見込みだけでなく、40人枠をどう使うかという球団側の事情も含んだ判断なのです。

登録日は最大3日までさかのぼれる

負傷者リストには「さかのぼり登録」というルールがあります。

例えば、選手が月曜日の試合を最後に出場せず、検査を重ねた結果、金曜日に10日間負傷者リスト入りが決まったとします。この場合、負傷者リストの登録日を一定期間さかのぼらせることができます。

ただし、通常の10日間および15日間負傷者リストで、さかのぼることができるのは最大3日までです。

そのため、負傷者リスト入りが発表された日と、公式記録上の登録開始日が一致しないことがあります。復帰可能日を考えるときは、ニュースが発表された日ではなく、登録上の日付を確認する必要があります。

「期間終了」と「復帰決定」は別物

負傷者リストに付いている数字は、復帰予定日ではありません。

10日間負傷者リストなら10日、15日間なら15日の最低期間を終えた後に、ようやく復帰する資格を得ます。痛みが残っていれば、そのまま負傷者リストにとどまります。最低期間が終わったからといって、球団がすぐに復帰させなければならないわけではありません。

長期離脱した選手は、実戦感覚を取り戻すために、マイナーリーグの試合へ調整出場することもあります。試合で全力疾走できるか、問題なく送球できるか、登板翌日に痛みが出ないかなどを確認してから、メジャー復帰が決まります。

  • 野手の調整出場期間:基本的に最大20日
  • 投手の調整出場期間:基本的に最大30日

負傷者リスト入りの選手がマイナーリーグの試合に出たというニュースは、復帰へ向けて1段階進んだ合図です。ただし、それだけで復帰が確定したわけではありません。

負傷者情報を見るときの5つのポイント

負傷者リストのニュースで注目すべきなのは、日数だけではありません。次のような点を見ると、球団の判断や復帰までの見通しがわかりやすくなります。

  1. 10日間負傷者リストなのか
  2. 15日間負傷者リストなのか
  3. 40人枠に残っているのか
  4. 60日間負傷者リストへ移して、40人枠を空けたのか
  5. マイナーリーグでの調整出場を始めたのか

こうした情報を追うと、球団が短期離脱と考えているのか、それとも長期戦を覚悟しているのかが見えてきます。


負傷者リストは球団の本音を映し出す

筆者は、負傷者リストを単なる欠場者一覧として見るのは、非常にもったいないと感じています。そこには選手の体を守るための慎重な判断があり、代役に誰を選ぶのか、40人枠をどう使うのかという球団の考えも表れます。

華やかな本塁打や豪快な奪三振とは違い、負傷者リストの動きは目立ちません。それでも、優勝争いの行方を静かに左右する重要な要素です。

次に負傷者リスト入りのニュースを見たときは、けがの内容だけでなく、リストの種類や登録日、調整出場の状況にも注目してみてください。

数字の奥にある復帰計画と球団の本音が見えるようになれば、メジャーリーグ観戦はさらに面白くなるはずです。


参考資料

この記事は、メジャーリーグ公式サイトで公開されている負傷者リストの説明および関連規定を参考に作成しています。

※各制度の内容は変更される可能性があります。最新情報については、メジャーリーグ公式サイトをご確認ください。最終確認日:2026年10月18日

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【MLBロースタードットコム編集部】
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